QUEER NEWS JUNKIE

虹色ニュース&カルチャー

AyenのAmi Ideが語る!新アルバム『Out Tonight』発売記念インタビュー

f:id:calibaby:20160505150431j:plain

Text by Yu Ichikawa/Photo by Shinsuke Yasui

横浜レインボーフェスタ、『Glamorous』などに出演し、その独特な魅力でクィアシーンにファンを増やしつつあるR&BシンガーソングライターAmi Ide。昨年ソロアルバム『Love yourself』をリリースした彼女が、DJ YENとのユニット「AYEN」より、アルバム『Out Tonight』を5月13日にリリースする。

Queer News Junkieではこのアルバム発売を記念して、 Ami Ideにインタビュー。ユニット結成のきっかけからアルバム収録曲の解説まで、じっくりと語ってもらった。

ユニット「Ayen」誕生のきっかけ

--- これまでソロ活動をされていましたが、Ayen(アイエン)を組んでいるDJ YENとの出会いはどのようなものですか?

YENくんとは、私のLA 時代の共通の友達を通じて、東京で出会いました。彼は、LAクラブとかでもプレイしていたんですけど、ハングリー精神が強く、路上のタコトラックの前でDJしたり……そういう面白いことをやっていた人なんですね。

正式に活動を始めたのが、2015年の12月31日に行なったGlamorousというイベントのカウントダウンライブ。そのギグが決まり、そこでやるための曲を作りだしたのがAYENのはじまりでした。お互い海外指向だったのもあり、全部英語詞で作ろう!ということでつくりはじめました。YENくんがトラックを作り、私がメロディと歌詞を作って歌を乗せています。

--- ソロでやっていた時と比べ、ユニット活動はどうですか?違いなど感じますか?

Ayenでやるようになって、音のクオリティが上がっているのを感じるので、これまで以上に胸を張ってどんどんプッシュできるようになってます。あと、YENくんと私は、話がとても合うんです。音楽性ももちろんなのだけど、音楽をビジネスとして成り立たせたい!という方向性が一緒なんですよ。

だから、AYENについても、こうしたらよいのでは?ああしたらいいのでは?と毎日ずっと話してるんです。リハして、ライブして、反省会して、ずっとコミュニケーションを取り続けている。そういう意味で、すごく相性がよい相方と出会えたな!という思いはありますね。

--- 出会いの力という感じですね。

ありがたいことに、今私たちの周りには、プロモーション以外、ほとんど自分たちでできる環境が整っているので、自分たちでできるところは自分たちでやっていくという形で挑戦していきたいんです。Pineal Eye Recordsというレーベルも立ち上げました。 これで、できるところまでやって、もしレーベルに所属するならば、海外のレーベルがいいなと考えています。

国際的に活動して、「輸入」という形で日本にも活動するというのはありですね。

--- AYENはサウンドもそうだし、参加しているアーティストたちもものすごくインターナショナルな雰囲気がありますね。『洋楽/邦楽』という枠組みで捉えられない感じ。海外指向というのも納得です。

ちょっと「日本の音楽業界に喧嘩を売りたい」というところはあるかもしれませんね。 今の日本って、ヒットチャートがアイドルばかりで音楽が音楽として聴かれていないというところがあると思うんです。インディーズには、よいアーティストが沢山いるのに、全然注目もされない。

そんな状況を変えたいですね。

--- 新アルバム『Out Tonight』について語ってください。

このアルバムは本当に「ありえない」くらい素晴らしい人たちが集まって、協力してくれたおかげで、つくり上げることができました。この半年間で、考えられないくらいラッキーの連続でした。

渋谷のSOUND MUSEUM VISIONやageHa などの、大きな箱で演じる機会も貰えましたし……これからももっとずっとビッグになりたいですね。

AYENでグラミー賞を獲る。そして、2020年には、東京オリンピックで演奏するのが夢です。

-- Queer News Junkieの読者へ、メッセージをお願いします。

まだまだ始まったばかりのAYENですが、日本から海外へかっこいい音楽とカルチャーを発信できるように頑張りたいと思います! 応援よろしくお願いします。

Ami Ideによる『Out Tonight 』全曲解説!

1.Love Finds a Way

AYENとして、最初に出来た曲。AYENのユニークな感じを一番よく表している曲かも(笑)私の母親はオペラ歌手なんですけど、そんなルーツであるオペラっぽさを取り入れているところもあるし。

実は、この曲を書いた時、元恋人との関係が微妙になってきていて。タイトルのLove finds a Wayは「愛は必ず道を見つける」という意味で「必ず元に戻れるよ」という思いで書いていました。

2. Get Away (Cover Ver.)

ジ・インターネットのカバー曲です。

LAで髪を切ってもらっている時、美容師に「あのバンドの人に顔が似てる!」と言われて知ったのがジ・インターネットを知ったきっかけ。それ以降どんな音楽を作る人なんだろう?と思って聴き始めたら、好きになって。彼らの来日ライブに合わせてミュージックビデオを作ろう!ということで作りました。シドがツイートをライクしてくれたのが嬉しかったですね。

3. Give me Heaven

『ギミー・ヘブン』という日本の映画にインスパイアされた書いた曲です。 『ギミー・ヘブン』の主人公は、共感覚を持っていて、他の人と見え方や感じ方が違うんです。それで「誰もわかってくれない……」と孤独な思いでいたら、同じような共感覚を持った人と出会うんです。

「周りの誰にも理解されないと思っていた」というこの気持ちが、私にとっても理解できるもの。そういう気持ちが歌詞にも反映されています。

4. Out Tonight ft. Onetwenty

アルバムタイトルの曲。Out Tonightというタイトルは、聴けば、分かる人にはわかる、二重の意味を含めています!何回も聞いてね(笑)

5. New Day

これは、昔やっていたバンドをやめるようか考えていた頃に作ろうとした曲です。自分にとってもバンドにいるのはプラスなはずなのに、音楽性や方向性の違いで、リーダーとうまくいかなくて精神的に辛くて……。ちょっと不健康な関係に陥ってました。恋愛にも結びつくような話ですね(笑)

結局、バンドをやめたのですが、その時の「今日から新しい一日が始まる!」という感じを歌にしたのがこの曲です。

でも、今になって、その時のリーダーの考えがわかる時があります。バンドをビジネスとして考えるとか、ギターの腕がすごいとか、情熱的なリーダーには尊敬できることもいっぱいありました。 将来また、一緒にやる機会があればなと思っています。

6. Out Tonight (Tabtabs Remix)

このRemixはシンセの使い方がかっこいいし、ボーカルの使い方がすごいうまいんですね。YENくんとはまた違うタイプの曲だなーと聴いて思いました。

スクリレックスとディプロみたいなケミストリーとでもいいましょうか。個性が違う二人だから、今後もかぶらない感じでコラボしていけると思っています!

7. Love Finds A Way (Yudai Goto Remix.)

Yudai Gotoさんは、過去にYENくんのリミックスをやってくれたことがあり、それがかっこよかったので、今回もお願いすることになりました。 是非、この曲でクラブで盛り上がって欲しいなーと思います!

8. New Day (Acoustic Ver.)

本当は、アルバムには7曲だと思っていたのですが、実は8曲必要で、急遽収録することになりました。お友達のギタリストにお願いして、夜10時から朝の始発までレコーディングさせてもらいました(汗)

-- 取材後記 --

Amiの活動は彼女の前アルバムリリースの時からフォローしていましたが「Ayen」名義の楽曲には、彼女のまったく違った魅力が出ています。「Amiってこんな面も持っていたのか…!」と驚かされました。まるで、夢の世界へといざなわれるような、不思議な魅力のAyenから、これからも目が離せそうにありません。

2016年5月13日発売のアルバム『Out Tonight』はプリオーダー受付中です!

Ayenライブ予定

【AYEN プロフィール】

LAでシンガーソングライターとして活動して来たAmi Ideと、札幌出身、東京とLAを行き来し音楽活動を行っているDJ YENによるContemporary R&Bユニット。

東京のゲイパーティー《Glamorous》の2015年の年末カウントダウンのステージに出演。衝撃的なデビューを果たし、同日コンセプトMix Tapeをリリースした。

Ami Ideは2015年に“Love Yourself EP”をCDリリース。

DJ YENは2015年TREKKIE TRAXからの「DJ YEN - Get & Choose EP 」をリリース。さらに楽曲『Lay It Down』がフィンラドの老舗レーベル“Top Billin”の2015年ベストコンピレーション「Best of MMXV 」に収録されるなど海外を中心に注目を集めている。

yuichikawa.hatenablog.com