ツイッター上で、#GiveElsaAGirlfriendというハッシュタグがトレンドしていました。『アナと雪の女王(原題:Frozen)』の続編にて、エルサに女性の恋人を与え、エルサをディズニー史上初のレズビアンキャラクターにしてほしいというものです。
背景
ニュース、エンターテイメント、広告など、メディアにおけるLGBTの表象をウォッチしながら、LGBTの公正な表象を求める活動をしている団体GLAADが、エンターテイメント各社のレイティングを毎年発表しています。
今年の発表によれば、ライオンズゲートの作品のうち33%、またソニーとユニバーサルの作品の19%にLGBTのキャラクターが出演しています。しかし、ディズニー作品でLGBTのキャラクターが出ていたものは一つもなかったのです(参考記事)。
「エルサに彼女を!」タグの誕生
この落胆すべき発表を受けて、一人の女性がツイッター上で「ディズニーへ、エルサに女性の恋人を与えてください」とつぶやいたことから、今回のトレンドは始まりました。
Love is an open door. That door should be open to everyone, not just straight people. #GiveElsaAGirlfriend @Disney @DisneyPixar
— Annie was queenvives (@bivanessaives) May 1, 2016
愛は開いた扉。その扉は、ストレートの人々だけでなく、全員に開かれているべき。
#GiveElsaAGirlfriend
— chelsea (@McDebnam) May 1, 2016
Because I want this:
Kid: so you have two mommies?
my kid: yes
Kid: so like Elsa & ___
my kid: yes
Kid: that's cool!
エルサに彼女を与えてください.
なぜならこうなってほしいから--
子ども「じゃあ、君にはママが二人いるの? 私の子ども「そうだよ」 子ども「じゃあエルサと◯◯みたいにだ!」 私の子ども「うん」 子ども「かっこいい!」
#giveelsaagirlfriend is cool bc it'll give lgbtq girls better representation than just lesbian porn. Its time to stop sexualizing gay women
— ma (@leaveryan) May 2, 2016
エルサに彼女ができるというのはよいと思う。LGBTQの少女たちに、単なるポルノではない、よりよい表象を与えることができるから。ゲイの女性たちを性的なものとして見るのはやめる時。
#GiveElsaAGirlfriend Okay... but just imagine... a biracial queer princess couple. DISNEY IM SO DOWN pic.twitter.com/dszRwOdqB0
— khaleesi (@thelibrawitch) May 1, 2016
ただ想像してみて。異人種間のクィアお姫様カップル。ディズニー!私よいと思うよ!
エルサはレズビアンになるか?
『アナと雪の女王(原題:Frozen)』は画期的な映画でした。エルサは、王子様を必要としないプリンセスであり、そこで歌われる「真実の愛」は姉妹愛だったのです。ヒロインがたかだかと歌い上げる主題歌レリゴーは、明らかに「カムアウトの歌」と解釈できるものであり、ずっと隠し続けてきた本当の自分を開放し、受け止め、そして社会との折り合いをつけていく……というものでした。続編の公開日は未定ですが、2018年になると言われています。
まだまだディズニーに時間はあるわけですが、さて、このようなファンの熱い要望に対し、ディズニーは答えてくれるのでしょうか?
ディズニーの子会社であるABCで放映されているテレビシリーズ『ワンスアポンアタイム』では、すでにムーランとオーロラ、『赤ずきんちゃん』のルビーと『オズの魔法使い』のドロシーなど、プリンセス同士がカップルになっています。またディズニーがプライドパレードに参加したり、同性婚やLGBTの権利擁護に積極的な姿勢を見せていることから「もしかして」と言う人もいるようです。
わたしも、もちろん、そうなったらすごいなあ〜と思います。しかし、わたし自身はディズニーがエルサをはっきりと「レズビアン」として描く可能性は非常に低いのではないかと考えています。
ディズニーはディズニーなりに多様性の重要性を訴える作品を作り続けていますが、そのメッセージは巧妙に「メタファー」の形で作品となっています。『アナ雪』のゲイテーマもそうですし、最新作の『ズートピア』における人種差別問題もそうでした。
「夢の国」を作り上げたディズニーは、物語とメタファーの力を信じているのだと思います。正面から「LGBT」を描いて、正面から反発を食らったりボイコットをされるよりも、賢いやり方で人々の心に影響を与えることができる方法を選択することでしょう。
また、ディズニーにとって、映画は投資を回収するための収益源であり、幅広くマーチャンダイズを販売していくための布石でもあります。『アナ雪』のように超・大ヒットした作品の続編をレズビアンにすることで、上映ができなくなる国が出たり、反発が出るようなリスクは取らないと思います。
それでも……「エルサが王様と恋に落ちる」っていうガチヘテロ展開はやっぱり凹むので、それは避けて欲しいかも。公式にレズビアンにしなくてよいので、百合妄想の余地は残しておいて欲しい……。しかし、この願望は、せっかくレリゴーしたエルサのことを、改めて「クローゼット」に押し込める抑圧的なものなのでしょうか?
うーん。アナ雪の続編、いったいどうなるのでしょうね?2018年まで待ちきれません。
5月6日追記:当初、ゲイという言葉を使っていましたが、「カタカナのゲイで女性同性愛者を表すのはわかりづらい」という指摘を受け、文中のゲイをレズビアンに書き直しました。
補足書きました。
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↑オラフってある意味クィアな感じしませんか?GLAADは、どうやってオラフが「非LGBTキャラクター」だと判断したのだろ?