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米・アラバマ州内で「実刑」を含む厳しいトイレ法が成立

photo by Roadside Bandit

ターゲットの声明へのアンサーとして成立

アラバマ州オックスフォード市は、市議会5人の全員一致で、出生時の性別と異なるトイレを使った者に、500ドルの罰金から最高は6ヶ月の禁固刑を課すことを定めました(参考記事)。

これにより、同市のトランスジェンダーの人々は、SRS(性別適合手術)を受け、出生証明書上での性別を変更しない限り、性自認に沿ったトイレを使うことが刑事罰の対象となる、という厳しい状況に置かれています。

オックスフォード市議会議長は本条例につき「人口の0.3%と言われるトランスジェンダーの人々に対する心配からではなく、女性や子どもを守るために」成立させたもので、差別的なものではないと説明しました。

この条例は、実際には小売りチェーンのターゲットが、ノースカロライナ州の法律HB2に対抗し、「店内での性自認に基づいたトイレ使用を歓迎します」と声明を発表したことに反応して制定されました。オックスフォード市にはターゲットの店舗があり、「圧倒されるほど」多くの住民がこのターゲット社のポリシーに対して苦情を寄せたためということです。

ターゲット社の声明について、詳細はこちらをご覧ください。

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ノースカロライナ州のHB2と比較すると?

ノースカロライナのHB2は、政府の建物と公立学校における校舎においてのみ当てはまるものでしたが、こちらは、市内にあるすべての建物に適用されるため、例え、ターゲットの店内であっても逮捕・収監される可能性があるというのです。ノースカロライナ州の反LGBT的法律HB2よりも幅が広く、さらに罰則も厳しいものとなっています。

人は一日に4回〜7回排尿すると言われています。トイレに行くというのは、人が社会生活を送る上で、非常に基本的な行為であり、これが安心して行えないことによる不具合は多大なものです。今、SNS上では、「#WeJustNeedToPee(単におしっこしたいだけ)」というハッシュタグがバイラルしていますが、その「単なるトイレ」は、人間が健康に生きていくためにもっとも必要で基本的な施設なのです。

女性や子どもたちの安全を脅かしているのは誰か?

さて、このような差別的な法律が成立するたびに、理由として「女性や子どもの安全」が挙げられます。しかし、女性や子どもたちの安全を脅かしているのは一体誰なのでしょうか?

多くの場合、性犯罪の加害者は男性であり、それらの犯罪は、トランスジェンダーの権利が問題になるずっと昔から犯罪を犯し続けてきました。そして、これからも、LGBTの権利保障とは関係なく、性犯罪は起こり続けるでしょう。もちろん、それは悲しいことであり、公共空間や家庭が安全な場所であるように、わたしたちは努力をし続けなければいけません。でも、それはLGBTの権利の保障とは関係ない話なのです。トランスジェンダーの人々が、好きなトイレやロッカールームを使用する権利を保障したことによって、トイレやロッカールームにおける犯罪が誘発されたことを裏付けるデータは一つもありません。

本当に女性や子どもたちを守りたいのなら、できることはいろいろあります。しかし、それは、トランスジェンダーの人々のトイレ使用の権利を奪ったり、LGBTを含めた差別禁止法を作ることを否定すること、などでは決してないと思います。

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