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テネシー州でもバックラッシュ!!「反トランスジェンダー法」「聖書法」はどんな内容?

photo by J. Stephen Conn

最近、ジョージア州(拒否権発動)、ミシシッピ州(成立)、ノースカロライナ州(成立)と立て続けに差別的な反LGBT法がニュースになりましたが、テネシー州でも同様の法律が現在審議されています。

テネシー州の「HB2414/SB2387」の内容は?

テネシー州で問題になっているこの法律「HB2414/SB2387」は一言で言えば、ノースカロライナ州の法律HB2をもっと狭めたもの。公立学校において、トランスジェンダーの生徒が、出生証明書通りのトイレやロッカールームを使わなければいけないという内容の法律です。

テネシー州では、出生証明書の性別を変更する方法がないため、現実的には、全てのトランスジェンダーの人々に対する差別となってしまいます。

テネシー州知事は慎重姿勢

テネシー州のビル・ハスラム知事(共和党)はこの法律に対して慎重な姿勢を見せています。もしもこの法律が成立してしまえば、テネシー州内の公立学校は、性による差別を禁じる連邦法「タイトルナイン」に違反することになり、連邦からの補助金を打ち切られることになるからです。テネシー州の司法長官の試算によると、この損失は約1300億円にも上るということです。

また、実際に法律が成立すれば、補助金以外にも多くのビジネスや他州の政府からの抗議が相次ぎ、州が経済的損失を被ることが予想できます。

同様の内容の法律HB1008が可決したサウスダコタ州では、デニス・ドハード(Dennis Daugaard )知事(共和党)が拒否権を発動し、法律の成立は阻止されました。テネシー州もそうなる可能性が高そうです。

テネシー州ではHB1840も可決

テネシー州ではもう一つ差別的な法律が可決しています。HB1840というこの法律は、セラピストやカウンセラーが宗教上の理由によって、サービス提供をすることを拒否することが出来るというもので、場面は限られていますが、大きな意味では「宗教自由法」の一つのバリエーションです。「聖書法」と呼んでいるメディアもあります。

ハスラム知事が、こちらのHB1840について拒否権を発動するかどうかは、未だ明らかではありません(参考記事)。

「女性の権利を守りたい」という議員のセクハラ疑惑

さて、この法律HB2414/SB2387 をめぐって一番笑えるのは、この法律を成立させようとしている議員の偽善者っぷりです。HB 2414/SB 2387の趣旨は「男が女子トイレに入るのを防ぎ、つまり女性と子どもを守るため」とされているのですが、これを推進している議員の一人ジェレミー・ダーハム(Jeremy Durham)議員(共和党)が度重なるセクシャルハラスメントの疑いで他の議員やロビイスト、インターンなどから隔離されました。性的なコメントをし、不適切に女性の体を触ったというので、オフィスの場所を移されてしまったのです(参考記事)。

トランスジェンダーが性別に沿ったトイレを利用することによる危険性というのは、法案のためのプロパガンダであり、現実には一件も事件は報告されていません(参考記事)。トランスジェンダー女性が女子トイレを使うことよりも、セクシャルハラスメントの方が、女性の権利や安全を脅かしています。トランスジェンダーを差別する口実に、都合よく「女性を守る」というのを持ちださないでほしいものです。

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