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メキシコ同性婚へ!カトリック教会は抵抗を試みているが…

メキシコのエンリケ・ペニャニエト(Enrique Peña Nieto)大統領は、国際反ホモフォビアの日であった5月17日、同国全土で同性婚を憲法上の権利として認める提案を行いました(参考記事)。

同性婚は既に首都メキシコ市の他、ハリスコ州、チワワ州など8州において認められていますが、全国レベルでの権利は認められていません。2015年、最高裁により州による同性婚禁止に対して違憲判決が出ています。

憲法改正のためには国会で2/3以上の承認を得る必要があります。現在のペニャニエト大統領の党と連立政党はほぼ半数を閉めており、また左派議員は既に同性婚に賛成していることを鑑みると、この得票は現実味があり、おそらくメキシコ全土で同性婚が認められることはほぼ確実だと見られています。

ラテンアメリカでは、既に、アルゼンチン、ブラジル、ウルグアイ、コロンビアが同性婚を認めています。

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カトリック教会は反対

ペニャニエト大統領の発表に対し、カトリック教会はさっそく反対を表明しています。しかし、近年の金銭的問題や。世界的な児童虐待スキャンダルの影響で、カトリック教会の影響力は下がってきていると言われます。

NPRのキャリー・カーンのによれば、メキシコ国民の80%がカトリック教徒であると自認しているのにも関わらず、定期的に教会にかよっているのは15〜20%程度にすぎないそうです。

先日イタリアでもシビル・ユニオン法が成立するなど、カトリック教国での動きが目立ちます。今後他のカトリック教国に波及していくのか、注目したいところです。

関連リンク

CNN.co.jp : メキシコ、全土で同性婚合法化へ 大統領が憲法改正提案

メキシコ、同性婚を容認へ 大統領が改革を提案 :日本経済新聞

ロックバンド、アゲインスト・ミー!出生証明書を燃やしてHB2に抗議

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パンクロックバンドのアゲインスト・ミー!が、ノースカロライナ州での公演中、ステージ上で出生証明書を燃やすというパフォーマンスを行い、ノースカロライナ州の反トランス的な「トイレ法」として知られるHB2に抗議を表明しました。

アゲインスト・ミー!のボーカル、ローラ・ジェイン・グレイスは2012年に雑誌『ローリングストーン』のインタビューでトランスジェンダーであることをカムアウト。数少ないロック界でのトランスジェンダーとして多くのミュージシャンから賞賛を浴びていました。

(↑トランスジェンダーであることを明かした後のアルバム『トランスジェンダー性別違和ブルース』発表後のインタビュー。妻と子どもはローラの性別移行を理解し、支えています。バンドメンバーがショックを受けた様子なども語られています。ジョーン・ジェットもメッセージで登場しています)

ノースカロライナ州で、トランスジェンダーが自らの自認するジェンダーと合致するトイレ使用を禁じるHB2が可決した後、ブルース・スプリングスティーン、リンゴ・スター、デミ・ロヴァートなど多くのミュージシャンがノースカロライナ州での公演をキャンセルしました。しかし、アゲインスト・ミー!は以下のように答えていました。

あの法律があるから、もっとノースカロライナ州で演奏したいと考えているよ!もしもショーに来て何かやりたい活動家団体があれば教えて!

そしてこれが、ステージでの様子。

「さよなら、ジェンダー!」と出生証明書を焼き捨ててるローラの顔は爽やかそのものです。

公演をキャンセルするミュージシャンもいれば、こうして公演をしたうえでその場を抗議活動とするミュージシャンもいます。一般の抗議活動も活発に行われており、5月16日には、抗議活動で11人が逮捕されました。

http://abcnews.go.com/US/wireStory/anti-lgbt-law-rally-set-dozens-arrested-39151427

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反ゲイボクサーのマニー・パッキャオ、フィリピンの上院議員へ当選。将来は大統領候補にも?

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「同性愛者は動物以下」という反ゲイ発言で批判を受けた元ボクサーのマニー・パッキャオがフィリピンで、上院議員に初当選しました。パッキャオは、かつて、2010年から下院議員を務めた経験があり、今後はボクシングから手を引き政治に集中するそうです。将来はフィリピンの大統領に立候補する意欲を見せています([参考記事](http://www.advocate.com/world/2016/5/11/manny-pacquiao

-considering-run-president-philippines-video))。

マニー・パッキャオはアメリカで活躍するフィリピン系やアジア系のヒーローとして強い影響力を持った人気ボクサーでしたが、反ゲイ発言を受け、Nikeのスポンサーシップを失い、ロサンゼルスの人気ショッピングモール「ザ、グローブ」などで出入り禁止となりました。しかし、地元フィリピンでは根強い人気を保っているようです(参考記事)。

フィリピンとLGBT

フィリピンはカトリック教の国ではありますが、人々の意識は比較的同性愛に寛容で、成人の73% が「同性愛は社会によって受け入れられるべきである」と考えているという調査結果が出ています。他国の結果(日本54%、韓国はh34%、アメリカ60%)と比較すると、フィリピンの寛容さが際立ちますね。しかし、フィリピンで活動するゲイグループはこの結果は「ゲイのエンターテイナーが目立つことによるもの」だといい、そのステロタイプから外れたものには生きづらい社会だといいます(参考記事)。事実、フィリピンでは、全国レベルでの反差別法や、同性婚をはじめとする同性カップルへの法的保護も存在しません。

人々の受容意識が高い反面、実際に権利侵害があった時の救済が存在しないということなんですね。今後パッキャオのような「反ゲイ派」の声が強くなっていけば、現実的な権利侵害の場面も増えかねません。フィリピンの大統領選挙では、「フィリピンのドナルド・トランプ」とも呼ばれる過激派のロドリゴ・ドゥテルテも当選しています(参考記事)。今後フィリピンはどうなっていくのでしょう。

yuichikawa.hatenablog.com

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