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「違法なセルフィー」で訴えるノースカロライナ州「トイレ法」HB2の理不尽

25歳のトランス女性サラ・マクブライドさんが「違法なセルフィー」を通じて、ノースカロライナ州の反LBGT法HB2へ抗議をしています(参考記事)。

マクブライトさんは、普段はワシントンDCでLGBT Progress at American Progressという団体のコミュニケーションマネージャーとして働いていますが、トランスジェンダーの声を届けるために、ノースカロライナ州内で活動をしていました。州政府の建物でのミーティングの後、マクブライトさんは、女子トイレに入り、そこで一枚のセルフィーを撮ることにしました。

「今私は、ノースカロライナ州の女子トイレを使おうとしています。厳密には入るのを禁止されているのですが。

彼らは、私がヘンタイだといいます。女装した男であり、子どもにとっての脅威だと。混乱している、危険な存在だと。そして、私のことを、私がこれまでずっとこう見られたいと戦ってきた人間として受け入れることが、一度は素晴らしかった国の衰退の現れだと言います。

私は、ただの人間です。私たちは皆単なる人間で、だた、静かにおしっこをしたいだけなのです。そして、自分たちの人生をできるだけ満たされたものに、そして真性なものにしたいだけなのです。私をこのトイレから締め出すことで、誰も得しません。そして、このトイレを使いつづけられるようにすること--ただ、恐れと差別と、嫌がらせをやめること—は、誰のことも傷つきません。やめてください。私たちはよい人間なのです。#repealhb2」

この投稿は大きな反響を呼びました。「あなたの隣でおしっこできることを誇らしく思います!」という女性たちからの声や、「わたしの娘があなたの隣でトイレに入っても何の問題もありません」という言葉。さらには「女子トイレが混んでる時は男子トイレに入っちゃいます」という告白まで!

マクブライトさんが女子トイレに入っているところがあまりにも自然で「いや、この人に女子トイレを使わせないとかおかしいでしょう」ということを鮮やかに可視化しているため、この投稿はここまでインパクトがあったんでしょう。

しかし、ここで大事なのは「サラ・マクブライドさんが可愛いから」とか「女に見えるから」とかそういう理由で判断してはダメだよね!ということ。性別移行を始める時は誰もが少しずつ外見を変えていきますし、パスできないトランスジェンダーにだって、充分自分の性自認に沿ったトイレを使う権利はあるのです(むしろ彼らの方がハラスメントにあう可能性が多いので、トイレ使用の権利はより重要)。

マクブライドさんの投稿がBuzzFeedに取り上げられた後、彼女自身もそのことについて釘を指しています。

「これを私や他のトランスの人がどういう外見をしてるか、という問題にするべきではありません。私は毎日の生活のなかでHB2を気にしなくてよい場所に住んでいるという特権を持っています。そして、見知らぬ人にトランスだということを知られることなく生活することができています。私たちは、アンチトランス法によって、比べ物にならないくらい影響を受けている人々、特に若いトランス、障がいを持ったトランス、有色人種のトランス、そしてジェンダーを決めずに生きている人々のことを忘れることはできません。これは、私たちがどう見えるかという話ではなく、私たちが誰かという問題なのです」