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イタリアで「シビルユニオン」法がようやく可決!

Italia

イタリアの下院で5月18日に同性カップル間のシビルユニオンを認める法律が可決しました。イタリアはEU加盟国28ヶ国のなかで、同性カップルに対する法的保護が存在しない最後の国であり、EUの人権裁判所から是正の勧告を受けていました。イタリア首相のマッテオ・レンツィが本法律を成立させるべく活動してきましたが、ローマに存在するカトリック教会の総本山バチカンからの反発を受けていました。

シビルユニオン法への評価

本法律の成立を受け、ローマではレインボーフラッグを持ち寄り、祝福をする人が目立ちました。イタリアのように、ローマンカトリック教会の影響下にあり、「伝統的な家族」という価値観が強い宗教的な国家で同性カップルにシビルユニオンを認める法律が成立したのは画期的なことです。 http://www.nytimes.com/2016/05/12/world/europe/italy-gay-same-sex-unions.html

今回の法律により、同性カップルは、姓の共有、相続権、病院における面会権、医療における決定権などが認められました。「とうとうカトリック教会を打ち破った!」というような評価も見られます(参考記事)。

シビルユニオン法への落胆

しかし、今回の法律に対し、「何もないよりはマシだが、内容は古い」「もっと昔に成立させるべきだった」という批判の声も出ています。

今回の法律は、あくまで「シビルユニオン」であり、結婚とは異なります。また、養子を迎えることも不可能であり、パートナーの子どもを養子にとすることもできません。

当初、この法律は、異性間/同性間問わずすべての内縁カップルへの公的住居へのアクセスなどを含むよりリベラルなものであり、同性カップルの養子縁組も法案に含まれていたのですが、宗教団体及び、中道右派の反対を受け、より保守的なものへと改変された法案が2月に上院で可決され、今回の下院での可決に伴い正式に法律として成立しました。

イタリアで、同性カップルへの権利保障をしようとする法案が提出されたのは、実に30年近く前のこと。バチカンや、ローマ教皇フランシスコは、近年よりリベラルな姿勢を打ち出していましたが、同性カップルの権利保障については、否定的な姿勢を貫いており、それが政治家へ影響を与えていました。イタリア社会でも、現実には既に多様な家族が存在していますが、文化としては、これらの存在を認めるよりも、伝統的な家族像が唯一の家族像であるように見る傾向が残っているそうです。

イタリアがシビルユニオン法を可決させたことにより、G7の主要7カ国で同性カップルの権利を保障する法律がないのは日本のみとなりました。

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