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米大統領、全国の公立学校に「トランス生徒のトイレ使用」に関する勧告

オバマ政権が、全米の公立学校に対し「トランスジェンダーの生徒が望みのトイレやロッカールームを使う権利を保障するように」という勧告を出しました。

本勧告自体は命令とは異なり、法的拘束力はありません。しかし、勧告はトランスジェンダーの生徒のトイレやロッカールームへのアクセスを保障し、差別から保護しない学校区が訴訟や補助金カットに直面する可能性を示唆しています。

本勧告は、司法省がノースカロライナ州で成立した法律HB2(地方自治体がLGBT差別禁止法を作ることを禁止し、トランスジェンダーが自らの性と合致するトイレなどを利用することを禁じた法律)をめぐって同州を訴えた二日後に出されたものでした。

地方からの反発も

しかし、このようなオバマ政権の動きには「地元の学校運営に対して、ワシントンDCから支持をするもの」として反発も出ています。例えば、ルイジアナ州ではオバマ政権からの勧告に加え、州知事も「州の機関は性自認に基づく差別をしてはならない」とする州知事命令を出しているのですが、これに対して「ルイジアナ州は、これらの連邦政府からの勧告や州知事命令にどう対処するべきか」という議員たちの質問書が、州の司法長官のもとに提出されています。ルイジアナの学校関係者はこの急な勧告を受け取る準備が出来ておらず、学校関係者、家庭、そして企業などからの質問や批判が殺到しているということです(参考記事)。

司法長官のスピーチや、オバマ政権のきっぱりとした態度は、それ自体で強いメッセージ性を持つものでした。しかし、州によって文化がまったく異なり、また州政府の権限が強いアメリカでは、連邦政府の「鶴の一声」によって、各地での差別的取り扱いが一度に止むということはなさそうです。逆に「州の権限を侵された」という被害者意識が高まる可能性もあります。

今後、ルイジアナだけでなく、各地でさまざまな抵抗活動がみられると思います。司法判断や連邦政府からの力だけに頼るのではなく、それぞれの地域で、地道に理解を求める活動を続けていくことがこれまで以上に大事になるはずです。

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